コロナネイティブな小学3年生

デジタルネイティブという言葉があるが、それと同じような意味で、小学3年生は小学校に入学した時からマスクを強制されて、それが当たり前だと思っているコロナネイティブである。

先日、OKスタジオとは別のところで指導している小3女子のAちゃんに注意された。「先生、マスクしなきゃダメだよ」と。他の人と話をしていてAちゃんには何もコンタクトしていなかったので「あとでね」と答えたら、「なんで?人と話す時にはマスクをしないとダメなんだよ」と言われた。

さて、いよいよAちゃんに話しかける段になってマスクを着けてあげたら、今度は「鼻だしマスクはダメだよ」と言われた。私は「Aちゃんねぇ、それはキミが通っている学校のきまりだよ。日本の法律でもないんだから、学校のきまりは学校でAちゃんが守ればいいことで、それを学校の外のみんなに無理強いしちゃだめだよ。」と答え、一応鼻も隠してあげた。

さて、そうは言っても、先日、高田馬場から拝島まで西武線急行に乗った時、その50分間に私の視界の及ぶ限りで乗客は(私以外)全員マスクしていたのだった。晴天、気温34℃である。私は先頭車両で立って運転士室越しに前面展望をしながら、時々振り返って乗降客を見ていた。
そうして福生市営プールに泳ぎに行ったのだが、プールでは、「更衣室で、熱中症を避けるためにマスクをしない場合は、会話は控えてください。マスクをしている場合でも大きな声は出さないでください。」とアナウンスしていた。もちろん、遊泳中は全員ノーマスクなんだが(笑)

日本は接種率が2回までは80%、3回目が60%、マスク率はさらに高く、場所にもよるが90%を越えている感じだ。しかし、今や感染者数が世界一だそうである。

Aちゃんのように、これまでの小学生生活をずっとマスクして過ごしてきたなんて、心底気の毒だと思うのだが、本人はそれが当然の日常になってしまったので、彼女に関する限り私の見たところでは、あまりつらそうでもないのである。

福生市営プールは多摩川の河川敷にある、豊かな緑に囲まれた大きな遊泳場なのだが、帰りに、プールではなく多摩川の中に入って泳いだり飛び込んだりしている2名の小学生男子を見かけた。「あれ?ここは遊泳してもいいんだっけ?」気になったが、深く追及することはやめた。ふと、あれが、あるべき小学生の姿なのではと思ったからだ。大人から押し付けられたきまりを破り、細菌やウィルスがうようよの川の中で裸になって、ややもすれば川の水を飲んだりもして、免疫を鍛える時期なんだ。大人によって「鼻までマスクをしなさい」だの「給食の時には全員が前を向いてしゃべらないで食べなさい」だのを制度化されて、もしかしたらそのせいで免疫が育たず、そのせいで感染も減らないのだとしたら、全く残念な話なのである。


井藤 好



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