私の住居がある大間々町から、わたらせ渓谷鉄道に乗って約30分渡良瀬川を遡上すると、神戸(ごうど)という無人駅に着く。そこから徒歩で20~30分(バスあり)の所に「童謡ふるさと館」がある。
先日そこに初めて出かけたら、ロビーで小学4年生ぐらいと2年生ぐらいの兄妹がYAMAHAのレトロな足踏み式オルガンをでたらめに叩きながら童謡を歌っていた。そこで、彼らのリクエストに応えて、そのオルガンで童謡を伴奏してあげて歌ってもらった。
私も興が乗ってクリスマスソングなどを弾いていると、館のキューレターの方が、そういう曲はこのオルガンで弾くといいですよと、童謡ホールという名の、劇場兼展示室に置かれたベル社のリードオルガンを紹介してくださった。
せっかくなので、この1900年製造のリードオルガンで、プロコルハルムの青い影を弾いて差し上げると大変喜ばれた。私には初めてのベル社製オルガン体験であったと思うが、とても素敵な音色だったので、通い詰めてこのオルガンの機能に習熟し、これに似つかわしい曲をたくさん弾いてみたいと思った。
童謡ホールにはスタンウェイのアップライトピアノも置いてあり、これも自由に弾くことができた。こちらは1931年製であった。
ピアノフォルテ(ピアノの旧称)も展示されていたが、明治期に生産がストップしたウィーン式ハンマーアクションを採用している数少ない物だそうだ(1900年前後の製造)。こちらは弾けるような状態ではなく、珍しがって見て楽しむものであった。
ファミリーホールという名の大ホールでは、KAWAIのEXも弾けるようになっていたが、この日はレコードコンサートで借りている団体が入っていて鑑賞中であったため、蓋を開けて、鍵盤をちょっと見せていただくだけとなった。
館の方にとても歓迎されて、またいつでも来てくださいと言われた。「そりゃ、来ますよ。200円でベル社のオルガンやスタンウェイのピアノが自由に弾けて、500円でカワイのコンサートグランドが2時間弾けるんでしょう!」と思いました。ここに練習しに来るし、レッスンやコンサートもしたいですね。ただし、暖房がないため、12月~2月は休館です。
うん、確かに群馬の山の中は寒い。
コンビニはおろか住居さえ見つけるのが困難な地域に、このような素晴らしい施設があるとは驚きでした。
しかし、施設近くにサンレイク草木という国民宿舎があり、神戸駅の近くには民宿沢屋がありますので、旅行で訪れるのにも良いでしょう。
井藤好